山口小夜子への憧れ

山口小夜子さんをご存知ですか?
ファッション業界で働いているのに知らない方がいたらモグリです。
というのは冗談ですが、先日読み終えた谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」を手にしたきっかけは山口小夜子さんなのです。

私が生まれた頃にモデルとして大活躍されていたのですが、晩年はさまざまなことにチャレンジをされていて、映画にも出演されていたし、山海塾ともコラボレーション、人形劇で衣装デザインをされたり、雑誌「ソトコト」でフォトグラファーの高木由利子さんとタッグを組み、当時のアンダーグラウンドなところで話題の人をインタビューする連載「蒙古斑革命」をされていたり、DJもしていたという。
とにかく表現の人でした。

私が山口小夜子さんを意識したのは中・高校生の頃、ファッションに興味を持ち、その道へ進もうと決めた頃だったかと。
とはいえ、その頃は今のように情報網が発達していない時代でしたので、小夜子さんを見られるのはファッション通信くらいなもので、黒髪のストレート、日本人形のような前髪、切れ長の目に、「これぞ日本人のカッコよさだわ」と思うことしかできませんでした。

「この業界で働いていれば、いつかお目にかかれるかなぁ」なんて思っていたのも束の間、2007年に急逝され、大変ショックを受けました。

その後、2015年に東京都現代美術館で「山口小夜子 未来を着る人」が開催され、あらためてどんな活動をされていたのか知ることができました。特にモデル業から離れていた時期はどんな活動をしているのか知らなかったので、とても驚いたし、あらためて「カッコいい」「素敵だ」と感じました。
その展示の一つに、小夜子さんがパフォーマンスしながら谷崎の「陰翳礼讃」を朗読する映像作品があり、これは読まないとなと思い早数年……。

同2015年には、小夜子さんのドキュメンタリー映画「氷の花火 山口小夜子」が上映され、あまり映画館に行かない私が2回も足を運びました。
この映画はDVDなどにできないため、今でも上映情報を入手しては観に行くようにしています。私は昨年も観てきました。
映画では、展覧会では見ることはできなかった可愛らしい一面を知ることができて、ファンとしてはちょっと嬉しい気持ちになりました。

「山口小夜子 未来を着る人」展の公式図録に、晩年の小夜子さんがあるインタビューで話していたことが書いてありました。

「着ることは生きること」

なんて素敵な言葉でしょう。
私は常々、“ファッションって誰もが簡単にできる自己表現”だと考えているのですが、小夜子さんは「服を着ることはもちろん、空間も音楽も空気も光も、人間を取り巻くすべてものを着ている」と捉えていたそうです。
晩年は「着る」の延長で、さまざまなことにチャレンジされていたということになります。確かに「着る」って最終的には、服だけにとどまらないですよね。例えば「オーラ」は「纏う」といいますし。

あぁ、小夜子さんのようになりたいな……

http://yamaguchisayoko.com/
※「氷の花火 山口小夜子」は自主上映会ができるようなので、服飾専門学校やアパレル企業の皆さま、いかがでしょうか。